オダ的 ぽひぽひ古事記

第ニ話 オオクニヌシノミコト編
~イナバのシロウサギの巻~

登場人物
・オオナムヂ(オオクニヌシノミコト)
・兄たち
・シロウサギ

ここまでのあらすじ!
なんやかんやあってスサノオの孫の孫のそのまた孫のようわからんくらいの孫で六代孫にあたるオオナムヂが誕生した! しかも、母が違う兄弟が80人いるのだった! 色々ツッコミ所満載なのだ!

さて、この八十人の兄弟、後の因幡である稲羽(鳥取県の東らへん)にいるヤカミヒメに全員が惚の字でした。
もう、なにかにつけて
 「やべー、ヤカミヒメ、やべ~。ばいやー(やばい)。」
 「ジーマでレーオのマーツにたいしー。(マジで俺の妻にしたい)」
と八十人の男どもは口にしてました。
そこで、皆で出雲の国(島根県)から稲羽(鳥取県の東らへん)へとヤカミヒメに会いに行くことにしました。
その時、オオナムヂは末っ子でしたから、お兄ちゃんたちのパシリのように扱われ、兄ちゃん達全員の荷物を持たされ連れていかれたのです。

一行が気多岬(鳥取県の西らへん)までやってきた時、ボコボコになっていた赤裸のウサギが一匹、浜辺で倒れていました。
八十人の兄弟達はそのウサギを見て、
 「ん~? どうしたんだウサギちゃんよ~? 痛いのか~? たいいか~?(いたいのか)
 それなら、ミーウにチャンボーで、ゼーカにウビュゥー、イーハーなウンマーのンーテでルーネでペキカンだしょ?(海に入って体を洗い、風で乾かして、高い山で寝れば良いよ)」
っと言いました。
元気なウサギなら、ボディに一発入れて体が沈んだところにアッパーカットのコンビネーションを八十発おみまいしていたでしょうが、弱っていましたからすっかり信じてしまい、兄弟に言われた通りにして、これで治ると思って寝ていました。
すると、体が乾くにつれ、ピリピリと痛み、さらにひどくなりました。

あまりの痛さに泣いてると、そこへオオナムヂが通りかかりました。
どうしたのかと思いたずねると、
ウサギは泣きながら、
 「前からこの島に来てみてぇと思ってたんす。でも、俺、うさぎじゃないっすか。渡れる訳ないじゃないっすか。なんかないかなぁなんて考えてたら、思いついちゃったんすよ、海のワニザメを騙してやれって。分かってますよ、俺だって分かってますよ。騙すなんてキャラじゃないって。プリチィな俺らしくないって。でも、来たかったんす。だからワニザメの一族に
 『ウサギ一族とワニザメ一族、どっちが多いか決着つけようぜ! てめらぇの仲間全員つれて、あっちの島からこっちの島までズラリと並べや! 俺が、その上をふんで歩き、数を数えてやんよ! どうよ?』
 って言ってみたんす。そうしたら、ワニザメ達、騙されやがって、こうズラーッと並びやがりましてね、そりゃもう滑稽っすよ。俺の一言であのワニザメが並んだんすから。なんっつうんすか? 兎がてっぺん取っちゃったっつうんすか。そんな感じっす。えっ? 話長い? ホントに痛いのかって? いてぇっすよ! 何言ってんすか! けど、なんっつうんすか、アドレナリンで何とか持ちこたえてるんす。兎のポテンシャル舐めないでくださいよ。んでね、まぁぽひぽひぽひっと数えながら渡ったわけですよ。でもね、俺やっちゃったんすよ。あと一歩で着くって時に安心しちゃって
 『マジてめぇら余裕。俺の頭、優秀。夢中で並びやがって、空中を飛ぶかのように俺は渡る。分かる? 口から出まかせよ。よく耳澄ませよ? 数数えなんてするわけねぇ、くだらねぇ、興味なんざねぇ。残念、てめぇらウサギの詐欺に観念!』
 ライム刻んじゃったんすよ。そしたら、キレたワニザメに捕まって、ボコボコっす。
 で、泣いてたら、大勢の神が通りかかって、治す方法教えてくれたから、その通りしたら、まぁこの様っす。ホントやっちまったす。」

こんだけ喋れるなら大丈夫じゃないか、っというかなんかムカつく
っとオオナムヂは思いましたが、
まぁ助けてあげてもいいかな、ムカつくけどなんか憎めないキャラでもあるな
っとも思ったので、傷が治る方法を教えてあげました。

言われた通りすると、傷はたちまち治って、ウサギはもとの美しい白ウサギになりました。
白ウサギは、
 「あんたの兄さん、ぜってぇ無理。ヤカミヒメとの結婚不利。これ決定的。袋を背負って辛いけど、焦せらなくていいんだよ。召使いの格好? 浴びるぜ脚光。さぁいけよ、出発進行。あんたが選ばれるぜ最高!」
とライム刻んで去っていきました。

このときオオナムヂに助けられたウサギは、のちに、イナバノシロウサギという、ウサギ神としてまつられました。

第三夜に続く

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