オダ的 ぽひぽひ古事記

第一話 イザナキとイザナミ編
~黄泉の国(よみのくに)の巻~

登場人物
・イザナキ(夫)
・イザナミ(妻)

ここまでのあらすじ!
なんやかんやあってイザナキとイザナミが子(神様)づくりをしてる最中、火の神を産んだら、その業火にイザナミが焼かれて死んでしまった!
イザナキは死んだ嫁に会うため黄泉の国へ向かった!

・・・黄泉の国

着くとそこには薄暗がりの中に大きな御殿があった。しかし、その扉は固く閉じている。
 「あの~、すいませーん。突然すいません。イザナキっていうもんですけど、イザナミさんはご在宅でしょうかね?」
と、扉の外から呼びかけました。

すると、扉のおくからイザナミの気配がしました。
イザナキは優しい声で扉の向こうに話かけました
 「愛しい妻よ、まだ国つくりは終わってないから、まぁとりあえず一緒に帰ろ。」
イザナミが答えます。
 「・・・そい!。」
 「そい? な、なんか流行ってるのかな? そいっ! って。いいね。そぉい! そぉい! イザナミそぉい! 」
 「遅い!」
 ・・・そぉい・・・
 「遅い。もう少し早く来てほしかったわ。私はもう黄泉の国のものを食べてしまい地上に戻ることは出来ません。でもせっかく来てくれたんだし、もう一度地上に戻れるか、黄泉の国の神様に相談してきます。
 その間、絶対に中を覗かないでくださいね。決して、私の姿を見ないでね。フリじゃないからね!『だけど~?』とかいらないかね!」

 「からの~?」
イザナキはイザナミに睨まれました。空気を読み間違えました。大人しく扉の外で待ちます。

・・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・。
・・・・・・zzzzzzz(寝息)。
はっ!
ぽひぽひ。
待っても待ってもイザナミは戻ってきません。痺れをきらし、扉を開けようとします。
いやいや。ダメダメ。
いやいや? 逆に?
いやいや!
いやいや?
いや!
いや?
・・・・・。
そぉい!
イザナキは、とうとう待ちきれず御殿の扉をそっと開けました。

中は真っ暗。火をともして、薄暗い中を進んでいくと、そこには変わり果てた姿のイザナミがいました。
その体には太ったウジがびっしりとたかり、頭、胸、腹、、手足に八匹の雷神が憑りついてました。

 ・・・思ってたんと違う・・・。

 「・・・おじゃましました~。」
イザナキは慌てて逃げ出しました。その時、後ろからイザナミの叫ぶ声が!
 「あれだけフリじゃないって言ったでしょ! よくも恥をかかせたわね。待ちなさい!」
イザナキが振り返ると、醜い女の化け物たちが、飛ぶように追いかけてきます!

 (思ってたんと違う~!)
イザナキは必死に逃げます。頭に被っていたつる草(あのあれです。多分皆さんが想像してるあれです。)を後ろに投げました。すると、そこから山ブドウがなりました。
 (マジかっ!)
イザナキは驚きましたが、化け物たちは夢中になってその実を食べ始めました。
イザナキはその隙にドンドン逃げます。

しかし、流石女子。スイーツの食べる量、早さは尋常でありません。食べ終えて、再びイザナキを追いかけます。
イザナキは今度はクシの歯を折り、ばら撒きました。
すると、タケノコがぽひぽひと生えてきました。
 (マジかっ!)
イザナキは少し惜しい事したかと思いながら逃げます。
化け物たちは思います。
 「出来れば先にこっち投げて欲しかった。もうデザート食べた後なのに。」
しかしやはり、食べてしまいました。

イザナミは遂に八匹の雷神達に命じます。
 「兵士どもを引き連れて行きなさい! ただし腹ペコのやつは置いていきなさい!」
たちまち、満腹中枢が満たされ腹ごなしに動きたかったんすよ的な、千五百の黄泉の国の兵士たちがイザナキを追いかけます。
一対千五百。
やりすぎです。仮に追いついたとしてイザナキをイザナミの元に連れて行こうとしても
 「ちょっ! どけって! あぁ邪魔! お前らいすぎやろ!」
ってなります。やりすぎです。後ろのやつは多分、ものの数分で
 (俺、意味なくね?)
って悟ります。そのくらいやりすぎです。
しかし大群は大群。イザナキはもう半泣きで走りながら、後ろ手で剣を振り回し、命からがら逃げます。

黄泉の国とこの世の境にある 黄泉平坂(よもつひらさか) のふもとにたどり着きました。
そこに一本のモモの木がありました。
イザナキはそのモモの実をもいで投げました。
 (自分は今なんかもってる。変な力を生み出すなにかもってる。)
そう思い込み、投げました。
すると、雷神たちは、恐れをなして逃げていきました。

マジかっ。

一方イザナミは、
「遅い! 私の周りはこんなのばっかり! なんやの! もう!」
痺れをきらし自ら追いかけます。

イザナキは、
 (やはり俺はもっている。何かをもっている。凄いな、俺!)
と調子ぶっこいてました。
と遠くにイザナミが。
イザナキは慌てて周りを見渡すとそこに大きな岩が!
 (やはり俺は…(以下省略))
自惚れながら坂の真ん中に岩を置き、道をふさぎました。

イザナキは岩を隔ててイザナミに言いました。
 「ちょっと、あの~、自分から会いに来てですね、しかもダメって言われてたのに開けた自分が言うのはどうかなぁと思ってはいるんですが、あの~、ごめんなさい! 無理です!」
当然イザナミは怒ります。
 「愛しいあなたがそういうなら私はあなたの国の人たちを一日に千人しめころします。」
やりすぎです。ちょっとやりすぎです。しかしイザナキは、
 「愛しい妻よ、あなたが千人殺すなら、私は一日に千五百の命をうみだすことにしよう。」
言ってやりました。言ってやりやがりました。
こうして、地上では一日に千人が死に、千五百の命が誕生することになったのです。

第ニ話に続く

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