人を探すのは初めての体験だった。
あきらかに私は興奮していた。
こんな気持ちになったのははじめてだった。
「待つ」こと、それも「 出口もなく待つ」こと、
こんなことが一週間も続けば
気が持たなくなる。
探し始めて二日目にしてそう感じた。
そしてそれ以上探すのをやめた。
いや、探すことだけに時間を費やすのは
やめた。
買い物ついでに探したり、移動のついでに
探したりすることにした。
五月を過ぎてから目撃情報が
K市の繁華街であった。
そのコンビニを見張っていたところ、
20分も経たないうちにやってきた。
失踪はわずか一ヶ月で終わった。
余波について。
わずか二日間だけの
あまりに凡庸なエピソード。
とりあえず帰ろう、そう言いかけたとき、
友人は私に顔を近づけた。
「あの煙を見たか?」
煙?
「まずは煙の話からはじめよう」