オダ的 ぽひぽひ古事記

第三話 オオクニヌシノミコト編
~兄さんたちのふくしゅうの巻~

登場人物
・オオナムヂ(オオクニヌシノミコト)
・兄たち
・お母さん神
・木の国の神

ここまでのあらすじ!
兄さんたちはヤカミヒメに会いに行っている。オオナムヂはイナバノシロウサギになんかよくわからん励ましラップをお見舞いされて、兄さんたちの後を追っている。

兄さんたちはヤカミヒメの御殿に着きました。80人の兄さんたちは代わる代わる、
 「俺と」
 「結婚」
 「しようぜ!」
っとローテーショントークをヤカミヒメにしました。正直一周目でうんざりですが全員回りきった後、
 「私は、あなた方のどれとも結婚しません! そもそも申し込むなら一人で来なさい! もう誰が誰かわからんわ! 私が夫にしたいのはオオナムヂさんですからどうぞお帰り下さい。」
それを聞いた兄さんたちは「ヤベー、ジーマでバイヤー。(マジでヤバイ)」っとたいそう腹を立てて、皆でこっそり相談して、オオナムヂをころすことにしました。

さて、兄弟揃っての帰り道。山のふもとにさしかかりました。兄さんたちはなにも知らないオオナムヂに言いました。
 「この山には、赤いイノシシがいんだけどよ、俺たちが山にのぼって、そいつを下におろすから、お前はふもとで待っててゲットしろよ。もし、ミスってみろ、お前ぶっ殺すかんな!」
そして兄さんたちは、イノシシに似た大岩を、火で真っ赤に焼き、山のうえから落としました! オオナムヂはそれを赤いイノシシだと思い、あらん限りの筋肉を駆使し、
 「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
と受けとめました。しかし衝撃には耐えられたものの、火という驚異は耐えきらず死んでしまいました。

後に石は語ります。
 「信じられますか? 高さ500メートルから転がる石を彼は受け止めたんです。80人がかりで転がした岩を彼一人で受け止めたんです。しかも、受け止めた後、あろうことか、後ろに下がるどころか、前に押し出されたんです。俺ってなんなんだろうって流石に思いましたね。燃えてなかったら多分砕かれました。燃え盛る中、俺は確かに彼がこう言ったのを聞きました。  『もう少しだったんだがな。』」

オオナムヂのお母さん神は、悲しみ、高天の原(タカマのハラ)のカミムスヒノカミに、
 「どうか! どうか! 息子にもう一度機会を! チャンスを!」
とお願いしました。カミムスヒノカミはそれを聞き入れ。アカガイヒメとハマグリヒメ、二人の女神を下界に送りました。
二人の合わせ技『オロナインノカミ』をオオナムヂに塗ると、たちまちオオナムヂは生き返り、元の元気な姿で駆けていきました。

兄さんたちは「ヤベー、ヤベー」と大騒ぎ。再びオオナムヂを殺そうと山の中に連れ込みました。
兄さんたちは、大きな木を切り倒して、裂け目をいれて、その間にくさびを入れました。そして、オオナムヂをその裂け目に入れ、くさびを引き抜き、はさみ殺しました。
後に一人の兄が語ります。
 「正直、80人でも無理やり裂け目に入れることができるか、それだけが不安でした。なんせ、オオナムヂは私たちの荷物を持ちながら長距離を悠々と着いてきたのです。
 腕なんか、用意してる木よりも太いんじゃないかって思いました。けれどオオナムヂは、私たちが『入れ』と命じたら、自ら進み入り、ニヤッと笑いこう言ったんです。 『更なる高みがまだありそうだ。』」

オオナムヂの母さん神は、また虫の知らせを感じ、泣きながら息子を探しました。そして、木の裂けめに軽く微笑んでいる息子を見つけると、すぐにその木を、
 「ちぇりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
っと二つに手刀でさいて、体を引き出しました。
オオナムヂは首を軽くポキポキならしながら生き返りました。

母は、
 「まだまだだな。貴様は二度も死んだ。それでは兄達の策略には勝てぬ。よその国で修業を積んで来なさい!」
と言って、〈木の国〉(現在の和歌山県か?)の神さまのところに行かせました。
ところが兄さんたちは
 「マジKKI(殺しても殺しても生き返るの略)」
と追いかけてきました。
そして、〈木の国〉の神様のところにいることをつきとめると神様を弓矢で脅し、
 「ONHW!(オオナムヂを引き渡せの略)」

〈木の国〉の神様は、小指で腕立てをしているオオナムヂに、
 「面白いもんだな、追う立場だったお前が気が付けば追われている。これはまさに恋にも似ているな。お前は、まだ、強いとはいえ、80人もの兄を払いのけれる力はない。〈根の国〉へ行きなさい。そこにお前の先祖、そして地上最強と言われているスサノオがいる。きっと更なる高みが見えようぞ!」
こうしてオオナムヂは、〈根の国〉へと旅立ちました。

第四話に続く

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