公演情報


大阪大学中之島芸術センター演劇公演

沼に咲く青いヒナギク

作品紹介


ベトナム現代演劇が翻訳劇として日本初上演!
1980年代、ベトナム演劇界を大いに沸かせた不世出の劇作家
ルー・クアン・ヴー 唯一のファンタジー作品

『沼に咲く青いヒナギク』あらすじ

科学者のホアン、教師のリエン、画家ヴァンの3人は、幼い頃の穏やかな思い出を共有する友人たちだ。

ある日ホアンがリエンに突然プロポーズした日は、リエンがホアンにヴァンとの結婚式の招待状を送った日でもあった。

エンジニアとして完璧を求めるホアンは、リエンとヴァンに似せた2体のロボットを作り、自分の望む完璧な人生を作ろうとする。

しかし、疑問を持ち始めたロボットが現実の生活に足を踏み入れると、多くの混乱を引き起こしていく。

人間によって創造されたロボットが人間との関係の中で、アイデンティティの在処を問う。
AIやロボットが必須のものになっている現代を、80年代ベトナムから予言的に映し出した近未来の演劇。

作家|ルー・クアン・ヴー

1948年生まれ。

1965年から1970年まで整備士として空軍に従事し、この期間に書いた詩が高い評価を受ける。
除隊後は、生計を立てるために職を転々としながら短編小説や散文詩を書く。

演劇雑誌の編集者となった1978年、創設したばかりの青年劇場の初のオリジナル作品「永遠の17歳」で劇作家として活動を始めると、ベトナム演劇界にセンセーションを巻き起こし、代表作「チュン・バの魂、肉屋の身体」など、1988年に事故死するまでの10年で50近くの戯曲を手がける。

の2000年、文化的功績を称えられ「ホー・チ・ミン賞」を受賞。

『沼に咲く青いヒナギク』について

妻の詩人スアン・クインの詩から着想を得て1987年に発表した作品。
ファンタジーの要素をベースに、かつて平和な田舎で思い出にあふれた時間を過ごした3人幼馴染の愛憎を中心に展開する。

2018年に青年劇場で再演されると、現代生活においても人間と機械が共存する世界という、時代を超越した視点を示し大きな反響を呼んだ。

真実とフィクションがユーモラスに交錯しながらも、科学の絶対的な完璧さへの願望と、人間の本質、魂や感情、そして時に不可解な愛との間の矛盾を示し、「幸福とは何か」という普遍のメッセージを残す。

キャスト&スタッフ


原作|ルー・クアン・ヴー
翻訳・監修|野辺優子
演出|ごまのはえ
企画立案|永田靖
出演|西村貴治 / 石原菜々子 / 山﨑茉由 / 仲谷萌 / 山谷一也
振付|山田レイ
演出助手|小山裕暉
舞台監督|今井康平
照明|葛西健一
音響|三橋琢
舞台美術・衣装・小道具|仲谷萌 / 越賀はなこ
宣伝美術|高田晴菜
イラスト|大野舞
制作|植村純子 / 一般社団法人毛帽子事務所 / ニットキャップシアター
協力|清水政明(大阪大学大学院人文学研究科外国語学専攻教授)
主催|大阪大学中之島芸術センター
後援|大阪大学外国語学部(ベトナム語学科) / 大阪大学大学院人文学研究科外国学専攻 / 在大阪ベトナム社会主義共和国総領事館
助成|科学研究費補助金基盤(B)アジア演劇の越境重層的研究と実践リサーチ型次世代ネットワークの構築

ノート


「沼に咲く青いヒナギク」はSFっぽい設定を上手に使って、理想を追う大切さと、現実を生きる愛おしさの両方を描き出す。どちらに重きを置く人に対しても、やさしいエールを送る作品だ。登場人物はそれぞれ自分の夢や不安や欲に突き動かされて行動するが、いたるところで立ち止まり、振り返り、自分が何者か思い悩む。その姿が、ゆっくり確実に、観客の共感を引き寄せるという優れた戯曲、なので、ハイ。それをどう演出するかが問題ですね。

演出 ごまのはえ

note(準備中)

フライヤー


宣伝美術:高田晴菜 イラスト:大野舞